タキシフォリンは脂肪酸酸化を促進することでシスプラチン誘発性急性腎障害を軽減する

Xuejin Jin, Lingkun Wang , Miao Yuan , Huanyan Tao , Huiyan Zha , Zheng Xu , Guang Liang , Xiangwei Xu , Qian Zhou
J Biochem Mol Toxicol. 2025 Oct;39(10):e70559. doi: 10.1002/jbt.70559.

[概要(翻訳版)]
シスプラチン誘発性腎毒性は、急性腎障害(AKI)として発現することが多く、その広範な臨床応用には大きな制約となっている。植物性フラボノイドであるタキシフォリンは、強力なフリーラジカル消去活性と炎症反応を調節する能力を有する。本研究は、シスプラチン誘発性腎障害におけるタキシフォリンの腎保護能の評価に焦点を当てた。細胞培養試験では、タキシフォリンがシスプラチンによるヒト尿細管上皮細胞への障害を軽減することが示された。さらに、シスプラチン誘発性腎毒性マウスに対するタキシフォリンの保護効果を評価した。タキシフォリンの経口投与は、シスプラチン投与の2日前および2時間後のいずれにおいても、腎尿細管の機能障害と構造的損傷の両方を効果的に軽減した。RNA-seqを用いた腎組織のトランスクリプトーム解析により、シスプラチン毒性に対するタキシフォリンの腎保護効果には、Fabp4を介した脂質代謝経路が関与している可能性が明らかになった。シスプラチン誘発性AKIマウスモデルおよび腎尿細管細胞の両方において、タキシフォリンは脂質代謝を促進し、細胞エネルギー(ATP)産生を回復させ、Fabp4による脂肪酸β酸化抑制を逆転させることでPGC-1α/PPARαの発現を亢進させた。これらの結果を総合すると、タキシフォリンはFabp4依存性脂肪酸酸化経路を調節することでシスプラチン誘発性AKIに対する腎保護効果を発揮し、シスプラチン関連腎毒性に対する潜在的な治療候補となることが示唆される。

[原文:Linked PubMed®]

Taxifolin Attenuates Cisplatin-Induced Acute Kidney Injury by Promoting Fatty Acid Oxidation