cGAS/STING/NF-κB経路阻害を介したモノクロロ酢酸誘発性皮膚障害に対するタキシフォリンの保護効果
Yu H, Wang L, Yang S, Liu D, Cao X.
Chem Biodivers. 2025 Oct 10:e02583. doi: 10.1002/cbdv.202502583.
[概要(翻訳版)]
モノクロロ酢酸(MCA)は、水の消毒に伴う一般的な副産物であり、水環境中での検出が増加しており、皮膚の健康への有害な影響が懸念されている。多様な薬理特性を持つフラボノイドであるタキシフォリン(TAX)は、皮膚科領域への応用においてこれまであまり注目されていない。本研究では、TAXがヒト表皮ケラチノサイト(HaCaT細胞)におけるMCA誘発性皮膚障害を有意に軽減することが示された。 MTTアッセイでは、12.5、25、50 µMの濃度のTAXが、MCAによって引き起こされたHaCaT細胞の減少を効果的に逆転させることが明らかになった。さらに、免疫蛍光およびフローサイトメトリー分析では、TAXがMCAによって引き起こされた活性酸素種(ROS)レベルとアポトーシスを著しく減少させることが示された。さらに、TAXはMCAによって引き起こされるROS媒介DNA損傷を軽減した。DNA損傷は細胞質DNAセンサーサイクリックGMP-AMP合成酵素(cGAS)を活性化できることから、cGASインターフェロン遺伝子刺激因子(STING)経路の関与をさらに調べた。結果は、TAXがcGAS-STING経路の活性化を阻害し、それによって下流のNF-κB活性化と炎症性サイトカインの放出を防ぐことを示した。これらの知見は、MCAによって引き起こされた皮膚損傷に対するTAXの保護効果を実証し、将来の皮膚科応用の候補としての可能性を浮き彫りにしている。
[原文:Linked PubMed®]
Protective Effect of Taxifolin Against Monochloroacetic Acid-Induced Skin Damage via Inhibition of the cGAS/STING/NF-κB Pathway
