認知機能障害予防のためのタキシフォリン(T-COG試験):無作為化二重盲検プラセボ対照試験の試験プロトコル

Tetsuya Chiba , Yorito Hattori , Koko Asakura , Yuka Sano , Satoshi Saito , Manabu Minami , Haruko Yamamoto , Masafumi Ihara
Front Nutr. 2025 Oct 13:12:1686381. doi: 10.3389/fnut.2025.1686381. eCollection 2025.

[概要(翻訳版)]

背景:2023年と2024年に、新規抗βアミロイド抗体であるレカネマブとドナネマブが、日本と米国を含むいくつかの国で軽度認知障害および軽度認知症の治療薬として承認された。これらの薬剤は蓄積したβアミロイドを除去することには成功しているものの、認知機能の低下を遅らせるだけで、認知機能の改善には至らない。これは、βアミロイドの除去だけでは認知機能の改善には不十分であることを示唆している。したがって、多面的な神経保護作用を持つ新たな治療法が求められている。生理活性フラボノイドであるタキシフォリンは、これまでの実験研究において、アミロイドβの凝集・オリゴマー化、海馬神経炎症の抑制、脳リンパ管形成の促進といった多面的な作用を示している。さらに、予備的な観察研究では、軽度認知障害または軽度認知症患者において、タキシフォリンの経口投与が認知機能の改善と関連していることが示された。

方法:本試験は、軽度認知障害または軽度認知症患者60名を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験である。全参加者は、100mgのタキシフォリンまたはプラセボカプセルを1日1回、12週間経口投与する。ウォッシュアウト期間は6週間とする。主要目的は、モントリオール認知機能評価を用いて、タキシフォリンの認知機能障害に対する効果を明らかにすることであった。主な副次目的は、タキシフォリンが(i)アルツハイマー病評価尺度認知サブスケール14の総合スコアおよびトレイルメイキングテストのスコアの変化によって評価される認知機能低下の予防、および(ii)脳磁気共鳴画像法(MRI)における白質高信号域の容積および脳微小出血数の変化に与える影響を評価することであった。

考察:タキシフォリンは、認知機能低下の予防につながる多標的神経保護作用を有し、高い安全性と低コストを兼ね備えていることから、本T-COG試験は新たな治療法への貴重な知見をもたらす可能性がある。

[原文:Linked PubMed®]
Taxifolin for prevention of COGnitive impairment (T-COG trial): a study protocol for a randomized, double-blind, placebo-controlled trial