Mycobacterium tuberculosis (結核菌)DNAジャイレースATPaseの潜在的阻害剤としてのPhanera sirindhorniae(ファネラ・シリンドルニアエは、マメ科の常緑蔓性樹)由来フラボノイドの計算論的解析
Pharit Kamsri
Comput Biol Med. 2025 Aug 25;197(Pt A):110991. doi: 10.1016/j.compbiomed.2025.110991.
[概要(翻訳版)]
薬剤耐性Mycobacterium tuberculosis(結核菌)の増加は、細菌の重要な経路を標的とする安全で生物学的利用能の高い化合物の緊急の必要性を浮き彫りにしている。DNAジャイレースサブユニットB(GyrB)のATPaseドメインは、DNAスーパーコイル形成とエネルギー代謝に関与する、メカニズム的に異なる、創薬可能な部位である。本研究では、構造およびシステムに基づく計算論的パイプラインを用いて、GyrBに対する多標的阻害能を持つ天然フラボノイドを同定した。ナリンゲニン、タキシフォリン、ケルセチンは、予測されるATPase阻害活性、抗結核(TB)活性、および薬物動態特性に基づき、初期フラボノイドライブラリから選択された。分子ドッキングおよび拡張分子動力学(MD)シミュレーション(3 × 500 ns)により、安定した結合ポーズが検証された。分子力学一般化ボーン表面積(MM-GBSA)計算では、タキシフォリンがエネルギー的に最も有利(-25.6 kcal/mol)であることが示され、これはAsp79との持続的な相互作用と最小限のコンフォメーションドリフトによって裏付けられている。マルチオミクス解析により、GyrB、ParE、およびAtpDのダウンレギュレーションが明らかになり、NAD+/NADHおよびTCA中間体のメタボロームシフトから、酸化還元および呼吸器疾患の存在が確認されました。生理学的薬物動態シミュレーションでは、ナリンゲニンが予測される肺曝露量(300mgで0.546μM)が最も高かったのに対し、タキシフォリンは結合親和性、曝露量、安全性のバランスが最も優れていたことが示された。リファンピシンとの相乗効果モデリングでは、タキシフォリンが最有力候補と特定された(ZIP相乗効果スコア:+4.3)。これらの知見は、タキシフォリンとナリンゲニンが結核治療における有望なATPase標的補助薬であることを浮き彫りにし、MDとシステム薬理学の統合が天然物の合理的な再利用をいかに導くかを示している。
[原文:Linked PubMed®]
Computational analysis of Phanera sirindhorniae flavonoids as potential inhibitors of Mycobacterium tuberculosis DNA gyrase ATPase