ジヒドロケルセチンナノミセルは、IKK/IKB/NF-κBシグナル伝達経路を介してASDラットの海馬アポトーシスを抑制し、自閉症様行動を軽減する

Shan Zhao , Xiaotong Chen , Qiong Sun , Haiyan Zhu , Sen Yang , Xueting Song , Jingyi Chen , Changmei Zhang , Lijie Wu
Mol Pharm. 2025 Aug 6. doi: 10.1021/acs.molpharmaceut.5c00422.

[概要(翻訳版)]

神経保護作用を有する化合物であるジヒドロケルセチン(DHQ)は、様々な神経系疾患においてその可能性を示している。しかし、自閉スペクトラム症(ASD)におけるその作用機序については、まだ解明が進んでいない。DHQは溶解性が低いため、臨床応用が制限されている。本研究では、新たなナノドラッグデリバリーシステムを構築することで、DHQの溶解性を向上させることを目的とした。両親媒性ブロックコポリマーであるMANNOSE-PEG2000-DSPEを用いてDHQをカプセル化し、得られた製剤をMAN@DHQと略した。ASDラットは7日間、MAN@DHQで治療した。in vivo実験の結果、MAN@DHQはASDラットの自閉症様行動を効果的に緩和できることが確認された。ウエスタンブロットの結果から、MAN@DHQはIKK/IKB/NF-κBシグナル伝達経路を介して、ASDラットの海馬アポトーシスを軽減し、海馬の神経損傷を改善することが実証さた。 ASD 治療における MAN@DHQ の治療上の可能性は、自閉症薬物療法におけるパラダイムシフトをもたらす進歩であり、ASD 患者に対する臨床介入に期待が持てる。

[原文:Linked PubMed®]
Dihydroquercetin Nanomicelles Mitigate Hippocampal Apoptosis and Alleviate Autism-Like Behaviors in ASD Rats via the IKK/IKB/NF-κB Signaling Pathway