タキシフォリンはPI3K/AktおよびMAPKシグナル伝達経路を制御することで血小板活性化および血栓症を阻害する

Fang Guo , Ruping Yang , Xiuqin Xiong , Yujing Yuan , Li Zhang , Chaoying Hua , Meng Wu , Yi Xiao , Rui Zhang , Jian Liu , Zhanzhan Yang , Gang Liu
Mol Nutr Food Res. 2025 Jul 9:e70129. doi: 10.1002/mnfr.70129. Online ahead of print.

[概要(翻訳版)]

過剰な血小板活性化は、心血管疾患の発症に極めて重要な役割を果たしている。タキシフォリンは抗酸化作用を有する天然のジヒドロフラボノール化合物である。しかし、血小板および血栓症に対するその作用機序は未だ解明されていない。そこで本研究では、タキシフォリンが血小板機能および血栓形成に及ぼす影響を調査し、その潜在的標的を同定することを目的とした。その結果、タキシフォリンはADP、コラーゲン、トロンビン、U46619、コンブルキシンなどの様々なアゴニストによって誘導される血小板凝集を阻害することが明らかになった。さらに、血小板のコラーゲンへの接着およびTXA2の合成も抑制した。さらに、安定した血栓形成に不可欠な血小板インテグリンαIIbβ3の「アウトサイドイン」シグナル伝達を阻害した。動物モデルにおいて、タキシフォリンは肺塞栓症および動脈血栓症の予防に有望な結果を示した。さらに重要なことに、タキシフォリンは重大な副作用を引き起こさなかった。ネットワーク薬理解析により、タキシフォリンはMAPK1、AKT1、SRC、PIK3R1、MAPK8など、血小板凝集および血栓形成に関与する主要な標的を介して効果を発揮する可能性が示唆された。一方、分子ドッキング研究により、タキシフォリンとMAPK1の相互作用が確認された。さらに、タキシフォリンは、MAPKおよびPI3K/Aktシグナル伝達経路における重要なタンパク質であるERK、p38、JNK、およびAktのリン酸化を阻害した。全体として、タキシフォリンは複数の経路および標的を介して作用する抗血小板薬および抗血栓薬としての可能性を示した。

[原文:Linked PubMed®]
Taxifolin Inhibits Platelet Activation and Thrombosis by Regulating the PI3K/Akt and MAPK Signaling Pathways